解体新書

Vol.1

ブランド発足から22年という月日が経ち、皆様の足元に支えられSPINGLE MOVE(スピングルムーヴ)時代より様々なプロダクトを発信してきたSPINGLE。

今一度、SPINGLEのシューズの魅力を奥の奥まで深堀してお伝えさせていただこうという企画、題して『解体新書』。SPINGLEのことを初めて知った方にも、これまでも支えて下さった多くのSPINGLEファンやユーザーの方々に、「知らなかった!!」と新たな発見や、楽しんでいただけるようなコンテンツをお届けできたらと思っております。

第一弾として相応しいモデルは...?!

と考えた時に...やはりこのモデルでした。

「SP-110」

SPINGLEのオーセンティックにして随一のロングセラーを誇るローカットの大定番モデル。「SPINGLEといえば”巻き上げソール”!」というほど、波打った独特なソール形状のイメージがあるかもしれません。この唯一無二なソールデザインを印象付けてきた根幹とも言えるモデルがこのSP-110なのです。

それでは解体新書のスタート!

――SP-110誕生!体育館シューズからヒントを得た?!

SP-110について掘り下げるならば、ブランドの成り立ちや前身モデルのお話からいたしましょう。


スピングルカンパニーの母体は、広島県府中市にある設立から91年のゴム総合メーカーの「ニチマン」。様々なゴム製品やシューズと向き合ってきたバックボーンと歴史があります。

その背景には職人気質あふれる備後地区の府中市だからこそ成せる「メイド・イン・ジャパン」の高い品質と長年培ってきた技術力がありました。それを生かせないか?

ということで2002年、SPINGLEの前身であるSPINGLE MOVE(スピングルムーヴ)が誕生しました。


また、地方にある会社ではあるけれども、流行に左右されず、個性的なデザインで時代のニーズに対応して勝負できないか?そして、冒頭でも触れたように、この時生まれたのがバルカナイズ製法による「巻き上げソール」なのです。

さて、ブランドの意匠としても特徴的な波打った模様のソールパターンはどのように開発されたのでしょうか。デザイン、開発に試行錯誤する中、ある企画担当者が「70年程も続く工場なんだから、何か宝が眠っているんじゃないか?」と、工場を歩いているときのこと。たまたまそこにあった当時から40年前の体育館シューズのゴム底の型に目が留まり…


「これは使える!」


そのアイデアはデザインとして即採用となったのです!

「当時のファーストモデルであるSPM-101」

それからブランドデビューするにあたり、一番最初に開発されたファーストモデルがSPM-101。


スニーカーのボトムの部分が決まり、「スピングルムーヴの“定番”をまず作ろう」というコンセプトで、この企画は始まりました。

定番とするからには、履き心地が良く、長く履いてもシルエットの崩れないもの、そして、どこかヨーロッパの匂いがする、少し細めのラインのきれいな大人のスニーカーにしたい!


素材は“極々シンプル”がモットーだったので、履き込むほどに本来の革の味が出る上質なスムースレザーを使用。また、履き心地をより良くするために、開発途中で中敷・中底の再調整をしたり、かかと部分のデザインにも変更を加えたりと、ファーストモデルの開発にはひと手間、ふた手間もかけました。開発には長年を要し、こうしてファーストモデルであるSPM-101が生まれたのです。


それからもSPINGLEは微修正や改良を重ねてきました。他のメーカーに比べてとにかく多種多様な革を使って、様々な加工をしている点が特徴的。最近では滅多に使用することも無くなりましたが、過去には馬、ラクダ、シープ(羊)、クロコダイル、パイソン(ヘビ)、リザード(トカゲ)、珍しいものでは“海の王者”シャーク(鮫)なんてのも、扱ったことがあります。いろんな革屋さんに、「よくそこまでやりますね!」と驚かれることもありました(笑)


そのなかでも定番として展開する際に辿り着いたのが、ユーザーからも圧倒的な支持を得ているカンガルーレザー。サッカーのスパイクなど負荷のかかるスポーツシーンでも使われていたように、柔軟・しなやかでいて、軽い。同じ厚さの牛革の4倍も引き裂き強度に優れているという丈夫さも兼ね備えている素材。カンガルーレザーをアッパーにのせるなど試行錯誤の末、プレミアムな履き心地を求めてSP-110が完成したのです。

――SP-110ってなにがいいの?

様々な要素で構成された、足に寄り添う履き心地のよさの秘密とは...

「SP-110の断面」

➀アッパー

 カンガルーレザー

 ・軽さ、薄さ、柔軟さ、強度は牛革の4倍

 ・履いた瞬間にスッと足に馴染むフィット感の良さ

 パターン形状

 ・日本人の足に沿い、屈曲がしやすいデザイン

②ライニング

 合皮

 ・優しく足が包みこまれる感覚が損なわれないよう薄い合皮を使用

 ・通気性よく清潔さをに保てるように

③インソール

 ・ラテックススポンジを使用した柔らかなタッチ。(他社メーカーでの採用は少なく希少)

④アウトソール

 ・唯一無二な巻きあがったソールデザイン

 ・防滑性の高い波状の凹凸のパターン

 ・耐摩耗性が高く、修理可能なオリジナルラバーソール

⑤履き心地

 ・地に足のついた履き心地

 ・地面を掴み蹴りだす歩行感覚

 ・踵のホールド性の良さ

⑥リペアサポートで好きなものをより永く

 ・ずっと大切に履いていられる!お修理対応が可能(一部製品を除く)

 

 お修理についてはこちら

――カラーバリエーション

現在までに発売されたカラーバリエーションは優に80色を超えるほどの展開をしてきました。(シーズンカラー、限定カラー含む)
現在発売しているラインナップ
  • Ivory
  • Black
  • Red
  • Dark Blue
  • Dark Gray
  • Light Brown
  • White
  • White/Yellow
  • Monochrome
  • Navy
  • Red Brown
  • Shiro/Kuro

今回はSP-110を紐解いてきました。いかがでしたでしょうか。

次回も不定期にて配信をしていく「SPINGLE解体新書」をぜひご覧ください。


文面だけでは伝わりきらない履き心地を、ぜひお近くの取り扱い店などで靴を手に取っていただき、お試しなさってください。